武豊騎手とドウデュースが凱旋門賞の前哨戦として、9月11日にフランスのパリロンシャン競馬場で行われたG2レース・ニエル賞に出走した。
ドウデュースのニエル賞4着に武豊騎手&友道調教師「次は変わってくる」
ニエル賞は、3歳限定の重賞レースで距離は凱旋門賞と同じ2400m。
パリロンシャン競馬場の馬場状態は、日本で言うところの重馬場。ニエル賞よりも前に行われたフォワ賞(G2・芝2400m)にはドウデュースの帯同馬マイラプソディが出走した。
私は昨夜、グリーンチャンネルの放送でレースを観戦した。マイラプソディは残念ながら6頭立ての6着に終わったのだが、武豊騎手は馬場の状態を確認するかのようにじっくりと乗っているように見えた。
いよいよニエル賞。今年は7頭立てで、日本のダービー馬ドウデュースが1番人気に推された。2番人気に地元フランスのラッソー、3番人気に同じくフランスのシムカミル。
ドウデュースは大外7番ゲートからのスタート。フォワ賞のマイラプソディも大外の6番ゲートだったのだが、武豊騎手はマイラプソディでは終始馬群の外からレースを進めたのに対し、ドウデュースでは好スタートを決めた後は控えて馬群の後ろに付け、ラチ沿いを走らせた。
マイラプソディの結果を踏まえて、距離のロスを出来るだけ少なくしようと考えたのだろうか、とレースを観ながらふと思った。
予想通りのゆったりとしたペースでレースは進み、いよいよ最後の直線。
直線で大外に持ち出したドウデュースの手応えには余裕があり、すぐ内の2番人気ラッソーの鞍上C.デムーロ騎手の手が動いているのに対し、武豊騎手は持ったままの状態でラッソーに並びかけた。
それを見た時に「イケる!」と私は思った。おそらくレースを観ていた多くの人がそう思ったのではないか。
ドウデュースの内には、早めに抜け出したシムカミル、2番手先行から粘り込みを図る日本でもお馴染みのペリエ騎手騎乗のトゥルーテスタマン、そしてラッソーの3頭がおり、後は外からそれらを交わすだけ、のはずだった。
しかし、ドウデュースは一旦は並びかけたラッソーに突き離されてしまう。そのラッソーも結局シムカミルを捕らえきれず2着に入るのが精一杯。3着には2番手で先行したトゥルーテスタマンが粘った。
ドウデュースは、3着のトゥルーテスタマンから2馬身差の4着に終わった。
【レース結果】
9月11日 パリロンシャン競馬場
ニエル賞(GII・芝2400m)
ドウデュース 武豊 4着#キーファーズ #武豊 #ニエル賞 #ドウデュース #武豊騎手https://t.co/YueUTAV9Ok pic.twitter.com/cjhZVKhhYo— Kiefers_Salon (@Kiefers_Salon) September 11, 2022
ドウデュースが4着以下に敗れたのは、これが初めて。しかも勝ち馬からかなり離された4着という結果に、レース直後の私は少し不安になった。しかし、グリーンチャンネルで合田直弘さんが、ドウデュースはフランスに到着してまだ1週間であること、ダービー以来のレースであることなどを話しているのを聞いているうちに、そうだった、これは前哨戦で、調教代わりのレースだと陣営も武豊騎手も言っていたのに、レースで走るドウデュースの姿を見たら、勝って欲しいという気持ちが出てきて、必要以上にがっかりしてしまった。
勝ったシムカミルをはじめ上位3頭は地元フランスの馬で、ニエル賞の前にパリロンシャン競馬場を経験済み。さらに、シムカミルは7月14日のパリ大賞典(2着)、ラッソーは8月14日ヌレイエフ賞(1着)、トゥルーテスタマンは8月15日のギヨームドルナーノ賞(3着)というように夏の間にレースを使われていた。
一方、ドウデュースは、初めての海外、初めての競馬場での休み明けのレース。決して悲観するような内容ではないのではないか。
【 #ニエル賞 】ドウデュースは最後方追走から4着どまり 武豊騎手「ほぼ右手前で走っていた」 https://t.co/XdKIyMUbKN #keiba #競馬
— スポーツ報知 競馬取材班 (@hochi_keiba) September 11, 2022
武豊騎手のコメント。
武豊騎手(ドウデュース=4着)「結果はちょっと残念でしたが、ダービー以来ですし、何がなんでも勝たなければいけない仕上げではもちろんなかったので、最後に脚が上がるような形でバテてしまったのはこの馬自身初めてで、まだ全力を出せる状態ではなかったのかなと思います。体重計はないですけど、若干重めに感じたのも、そういう計算なのかなと。もちろん次は状態も上がってくるでしょうし、逆算しての調整なので、残念ですけど今日は仕方がないし、失望するようなこともないです。ほぼ右手前で走ってたところがあって、そういうところも今日はチェックできました。馬場は多少ボコボコしてて若干は気にしていましたけど、むちゃくちゃ悪い馬場でもなかったです。この経験を生かして次につなげたいです」
【 #ニエル賞 】#ドウデュース 4着も〝本番〟へ悲観の色なし #武豊 「今回は追い切り代わり」友道調教師「いい試走ができた」 https://t.co/oNE7MeU6oU
※写真は平松さとし氏ご提供#東スポ競馬 #競馬 pic.twitter.com/iCx0op3BnH
— 東スポ競馬 (@tospo_keiba) September 11, 2022
友道調教師は、過去にダービー馬マカヒキで、ダービーからニエル賞、凱旋門賞というドウデュースと同じローテーションで凱旋門賞に挑んだ経験がある。
マカヒキはニエル賞を勝って、凱旋門賞に臨んだのだが結果は14着に終わった。前哨戦で仕上げすぎない、それがマカヒキの敗戦から得た経験を活かしたドウデュースの調整なのではないか。
武豊騎手も友道調教師も「次は変わってくる」、「次は良くなる」とコメントしているし、そうであると信じて本番の凱旋門賞を楽しみに待とうと思う。
不安があるとすれば、凱旋門賞当日の馬場状態。ニエル賞よりもさらにタフな重〜不良馬場にならないよう願っている。
武豊騎手「僕の悲願を達成してくれるのもこの馬なのかな」
武豊騎手と松島オーナーの対談が、キーファーズサロンに掲載されている。
【武豊騎手×松島正昭 対談】
凱旋門賞直前スペシャルインタビュー#キーファーズ #凱旋門賞 #ドウデュース #ニエル賞 #武豊#松島正昭 #武豊騎手 https://t.co/cCqXcRbr9R— Kiefers_Salon (@Kiefers_Salon) September 9, 2022
対談の中で、武豊騎手がずっと勝てなかった朝日杯FSをドウデュースで勝てたことについて、次のように話している。
武豊「僕が30年以上勝てなかったレースを勝てたんですから、そういう馬なんだと思うと、僕の悲願を達成してくれるのもこの馬なのかな、と。もちろん競馬なのでいろいろありますが、単純にいいことだけをとらえれば、一緒に初めてのGⅠを勝たせてもらったし、久しぶりに観客が入ったなかでダービーを勝ったりだとか」
武豊騎手に朝日杯FSの勝利と、50代でのダービー制覇をプレゼントしてくれたドウデュース。
「僕の悲願を達成してくれるのもこの馬なのかな」と話しているように、武豊騎手の悲願である凱旋門賞制覇をプレゼントしてくれるのは、ドウデュースなのかもしれない。いや、そうであって欲しい。