ラップの基本を学んでおいても損はない!上田琢巳『ラップ馬券学』

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私が競馬予想をする上で最も重要視しているファクターは、血統。『田端到・加藤栄の種牡馬事典』を『パーフェクト種牡馬辞典』時代から愛読している。血統の他に、馬の距離・コース適正、調教、騎手、厩舎など様々な予想ファクターも取り入れている。パドックを見るのは好きだけど、自分にパドックの馬を見る目はないと思っているので、参考程度にしている。

レースラップについては、前半が速い「前傾ラップ」、後半が速い「後傾ラップ」などのごく初歩的なことを知っている程度。

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上田琢巳『ラップ馬券学』

競馬のラップについて、もう少し知っておきたいと思い、私が以前購入したのが、上田琢巳『ラップ馬券学』(競馬ベスト新書)

著者の上田琢巳氏は、東スポで「西の仕掛け人」として予想をしている。『ラップ馬券学』は、2015年10月発行の本で、どうやら現在は絶版のようだ。私がこの本を購入したのも数年前のことで、一度読んで理解できたつもりで本棚に並べたままにしていた。

しかし、ラップについての私の知識は、やはりあやふやであるということに気付いた。上田氏は『ラップ馬券学』後もラップに関する書籍を出しているが、基本に大きな変化はないだろうと思い、『ラップ馬券学』を再び読んでみることにした。

 

上田氏は、ラップは頼りになる予想ツールであるとし、「馬の能力やキャラを把握するうえでは、必ず勉強したほうがいい」としている。

さらに「攻略法はひとつではない」とし、「的中にはいろんなパターン(予想方法)がある」とした上で、「少なくともラップの基本を学んで、損はないはずである」と書いているが、確かにその通りだ。

 

レースラップに対して個々の馬の個性(キャラ)がどう対応していたのか、どのような結果をもたらしたのかを分析するのが大事なのだ。

 

馬キャラとは、馬の個性。

馬キャラには、「瞬発力型」「持続力型」がある。この瞬発力型、持続力型については血統予想でも出てくるので、私は知っていた。

「瞬発力」、「持続力」の上田氏の定義は次のようなもの。

 

私が指し示す瞬発力とは、速いレース上がりに対応できる馬。持続力というのは、長くスピードを持続してレースを制する馬ということになる。

 

上田氏は瞬発力型の代表例としてディープインパクト、持続力型の代表例としてゴールドシップを挙げている。

また、馬キャラの他に馬場レベルレースレベルにも気をつけなければならないとし、本書では実例を挙げて説明している。

 

上田氏は、ラップ攻略の突破口は「芝中長距離戦」だという。

 

芝中長距離戦はディープ・タイプ、上がり最速馬を狙え

 

さらに芝中長距離戦において、コース適性を知ったうえでの話になると断り、「基本は瞬発力勝負の馬を狙っていれば確率は上がるといっていい」として、次のようなデータを出している。

 

芝中長距離戦(1800〜2400m戦、14年1月5日〜15年9月13日)において、前走上がり3F1位の馬の成績は【247—205—179—1048】(勝率14.7%、連対率26.9%、複勝率37.6%=スタッフ調べ)となる。
この期間に行なわれたレース数は1328レースあったことを考えると、芝中長距離路線で、いかに上がり最速馬が馬券になっているかがわかるだろう。

 

一方、芝短距離戦について。

 

コース・馬場によって、求められる馬キャラが異なる短距離戦

 

「基本的に短距離戦はラップで緩むところがない」とし、ラップ構成において馬のタイプが異なる芝中長距離戦と違い、「短距離戦(1400m以下)は、刻まれたラップがスピードの能力を表してるといっていい」、1400m戦と1200m戦で違いはあるが「どれだけのスピードで駆け抜けられるかが焦点となる」としている。

さらに「芝の短距離戦においては、必ずしも前走で上がり3F最速は必要はない」として、次のデータを出している。

 

2014年1月5日〜15年9月13日における芝短距離戦(1000m〜1400m)は914レース行なわれている。その内、前走上がり3F最速だった馬の成績は【79—74—68—669】(勝率8.9%、連対率17.2%、複勝率24.8%)という具合で、複勝率は中長距離戦に比べ10%以上低下する。

 

これについても具体例を実際のレースで説明しているので詳しくは本書を読んでもらいたい。

 

また、2歳新馬戦が始まった、まさに今の時期にピッタリだと思うのだが「2歳新馬戦で後の重賞、GⅠ勝ち馬を見つける」としてレース回顧の重要性について説き、わかりやすくディープインパクトの新馬戦のラップで説明している。

 

●ディープインパクトの新馬戦
(2004年12月19日・阪神芝2000m)
13.5—12.2—13.8—13.5—13.0—12.4—12.0—11.4—10.8—11.2
5F通過66秒0 レース上がり3F33秒4

 

上田氏は、ディープインパクトの新馬戦を「5F通過は66秒0という、ドがつくようなスローペース」とし、「注目はレース上がり3F33秒4という数字だけではなく、最後の2Fの10秒8、11秒2という上がり脚だ」という。

13.5—12.2—13.8—13.5—13.0—12.4—12.0—11.4—10.811.2

「この2Fのラップは、既にコンゴウリキシオーを交わして先頭に立っていたディープインパクトの数字ということになる」と説明。

そして、「10秒台の脚を繰り出し、最後は抑えながら11秒2で通過したのは瞬発力に秀でている証である」と、ディープインパクトが新馬戦において既に能力の高さを見せていたことをラップを用いて明らかにしている。

 

上田氏は、「映像と突き合わせて確認する」のも大切だとしているので、YouTubeのJRA公式チャンネルにあるディープインパクトの新馬戦の動画を貼っておく。

 

 

私はこれまで「前傾ラップ」、「後傾ラップ」、「瞬発力型」、「持続力型」というのを大まかなイメージで捉えていた。しかし、今回『ラップ馬券学』を読み返したことで、以前は読み流していたようなポイントを掴むことが、ほんのちょっと出来たような気がする。

少しはラップも参考にしたいが、私の競馬予想の柱となるのは血統で今後も変わらないだろうと思う。ラップにしろ、血統にしろ、必ず当たる予想法など残念ながら存在しない。それなら自分の好きな予想をするのが楽しいのではないだろうか。私の場合、お小遣いで楽しむ程度だから、そう思えるのかもしれないけれど。

『ラップ馬券学』に上田氏と今川秀樹氏との師弟対談が掲載されているのだが、その中で、予想家を大別すると、「分析タイプ」と「読ませるタイプ」がいるとし、上田氏は分析タイプ、清水成駿氏は読ませるタイプとしている。実は、私は読ませるタイプの予想家が好きだったりする。寺山修司の競馬コラムなどは予想の的中とは関係なく大好きだ。読ませるタイプかどうかわからないが、昔は「穴の池田」こと池田勇孝氏の予想を楽しみにしていた。

 

『ラップ馬券学』は現在、絶版で残念ながら電子書籍化もされていないが、古本であればAmazonマーケットプレイス等で安く入手することは可能。

 

上田琢巳氏の書籍『勝ち馬はこの数字でわかる! ラップトリック』(秀和システム)は、2019年3月出版で、単行本の他に電子書籍もある。

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